本作のテーマ
本作では小学校の国語・算数における各学年での躓きポイントの克服方法について、佐藤亮子氏(以下「佐藤ママ」)流のノウハウを読者に共有するのがテーマです。
本作を読んで得られるもの
本作では小学校で習う国語・算数の躓きポイントについて、佐藤ママ流の克服方法を知ることができます。
紙面の関係上全てというわけではないと思いますが、お子さん4人を東大理Ⅲ合格へ導いた方のノウハウは一見の価値ありだと思います。
著者のプロフィール
・著者・・・佐藤亮子、子供4人全員を東京大学理科Ⅲ類合格へ導く
・津田塾大学学芸学部英文学科卒業
・大分県内の私立高校で英語教師として2年間勤務
・テレビや雑誌への出演多数(フジテレビのバイキングへの出演経験もあり)
本作は「3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 絶対やるべき勉強法」の小学生の国語・算数特化版と考えれば良いかもしれません。
やはり4人のお子さんの家庭学習をずっと見ていただけあって無駄なく効率を追及されているところは、佐藤ママの著書を通してブレていない点だと思います。
佐藤ママが著書の「3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 絶対やるべき勉強法」、「灘→東大理Ⅲ3兄弟の母が教える中学受験」のレビュー記事も是非ご参照ください。
本作の概要
本作は全4章で構成されています。
第1章は学習習慣を身に付けるためのノウハウが記載されています。
スケジュール管理から精神論の無意味さについて解説されています。
第2章は中学受験生の母親の心構えについて触れられています。
この第2章に関しては、佐藤ママの他の著書を読んだ方にとっては繰り返しの内容になると思います。
第3章は算数、第4章は国語の勉強における躓きポイントの克服方法について解説があります。
構成の特徴として、学年別に躓くポイントとその克服方法がかなり具体的に記載されています。
参考になったポイント
個人的に本作を読んで参考になったポイントについて記載したいと思います。
徹底的に基本を大事にする
本作では以下のような点を大事にするよう記載されています。
・0と6を綺麗に書き分け
・見本通りにはみ出さずに丁寧になぞる
・1桁の足し算を鉛筆が止まらなくなるまで習熟させる
上記の点は我が家の息子の改善点でもあることから、非常に共感しました。
丁寧に書くことを疎かにすると、自分で書いたにも関わらず計算途中で見誤ってしまうことが確かにあります。
当たり前のことを当たり前にできるようになるのは意外と難しいのだと再認識させられました。
また、算数において1桁の足し算が全ての基礎と言っても過言ではなく、1桁の足し算を習熟できていれば、その後の桁数の増えた足し算も引き算もスムーズにできるようになります。
基礎を徹底的に磨き上げることの重要性も再認識させられました。
理論より実践
大人の私たちは何故そうなるのかを考えてから、結果を受け入れるというプロセスを自然と身に付けているのではないか思います。
何故その結果が起こるのか理由が分からないと釈然としないですよね…(^^;
ただし、小学生のうちから理論ありきで結果を考えるのは中々ハードルが高いと思います。
本作でも以下のような記載があります。
1からひくとき分母と分子をなぜ同数にするのかわからなくても、まずは計算。後で理解できる日が必ず来ます。
佐藤亮子, “3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 算数国語 絶対やるべき勉強法”, 幻冬舎, 2018, p.93
それでここも素直に「そういうもの」と割り切って覚えるのが効率的だと思います。
佐藤亮子, “3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 算数国語 絶対やるべき勉強法”, 幻冬舎, 2018, p.114
小学生の学習を円滑に進める上では、ある程度の割り切りが必要だということです。
著者の佐藤ママも本作の「はじめに」の部分で教育学的なセオリーの掟を破っているところもあると述べています。
理論を軽視するわけではなく、小学生の段階で学習を効率化するために実践を優先するという手段も中学受験を勝ち残るための一つの手段と考えれば良いのではないでしょうか。
具体的な書籍の紹介
本作では佐藤ママが使用した具体的な参考書や辞典の名称が複数出てきます。
もし使用する参考書や辞典でお悩みの方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
読書と国語の成績は無関係
私は読書をすることが国語の読解力の向上に繋がると考えていました。
国語の成績が良い学生は、たいてい読書好きだったことからもそう思っておりました。
しかしながら、著者の佐藤ママは読書と国語の成績について関連は無いと明言しております。
国語が苦手な子供は読むこと自体に苦手意識があり、適当に読み飛ばしてしまい、余計に内容が分からなくなり、成績も下がり、国語が嫌いになる悪循環に陥るそうです。
読書と読解力は別物と認識したほうが良いとのことでした。
本作を今後どう役立てたいと思ったか
本作を今後我が家でどう役立てたいかを下記にまとめてみました。
勉強は事務処理能力の向上に過ぎないと考える
本作中でも勉強のことを事務処理能力と言っている箇所があります。
これは賛否両論あるかと思います。
ただ、自分も学生時代に考えても考えても分からないことは、理論ではなく結果を捉えて「こうなるもの」と理解していた箇所もありました。
分からないところに永遠悩むよりはある程度の割り切りも重要だと本作を読んで再認識しました。
子供の家庭学習の際にも、まずは繰り返し学習を徹底し、理論を理解するのは後からでもよいとのスタンスで臨みたいと思いました。
もちろん今後の中学受験のトレンドが、思考力を問うものに偏りが増えた場合は、この考えは危険だと言うことも認識しておきます(^^;
細やかな親のサポートを心掛ける
本作では著者である佐藤ママの細やかな子供の学習に対するサポートがたくさん記載されています。
現在自分がここまでできているかと言われると、足下にも及んでいないと思います(^^;
本作でも記載されていましたが、文章を読むこと自体が小学校低学年のうちは勉強のハードルを高くしてしまっているとのことでしたので、音読のサポートは実践してみたいと思いました。
親のサポートとは結局のところ子供にどれだけ時間を割いてあげられるかだと思います。
子供のために時間を割くには、自分自身の時間の使い方も見直す必要があります。
自分自身の無駄な時間を削ぎ落す努力をしたいと思いました。
読んでもらいたい人
小学生のお子様をお持ちの保護者の方には一読の価値はあると思いました。
本作の良いところは佐藤ママの実践方法を具体的に示しながら記載されているところだと思います。
これまで読んできた佐藤ママの著書に共通していますが、非常に子供のために自分の時間を犠牲にする姿勢が伺えます。
佐藤ママ本人は犠牲にしたなどとは思っていないと推察されますが…。
子供のために使える自分の時間をどれだけ確保できるか振り返る良い機会を与えてくれるのが本作ではないでしょうか。
まとめ
本作は小学生の子供が国語と算数で躓きやすいポイントとそのポイントを克服するための方法が端的にまとめられており、大変参考になると思いました。
実際に家庭学習の中で悩みを抱えている保護者の方は、本作にヒントを求めてみてはいかがでしょうか。
私が本作で参考になったポイントは下記の点についてです。
・徹底的に基本を大事にする
・理論より実践
・具体的な書籍の紹介
・読書と国語の成績は無関係
また、今後本作をどう役立てたいかは下記の点についてです。
・勉強は事務処理能力の向上に過ぎないと考える
・細やかな親のサポートを心掛ける
本作の佐藤ママの取り組み内容のうち、参考にしたいと思った部分を各ご家庭で取り入れてみてはいかがでしょうか。
今までにない気づきがあるかもしれません。
本レビューが少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。