以前当ブログで「わいせつ教員データベース」に関して取り上げ、その際にわいせつ事件で懲戒免職となり、免許を失効した教員が都道府県を変えて再度教員免許を取得するのではないかと危惧しておりました。
それが現実のものとなりました…。
長野県教育委員会が、複数回にわたって名字を変え、過去のわいせつ行為による処分歴を隠していた中学校の臨時任用の40代男性講師を懲戒免職処分にしたそうです。
わいせつ事件で教員免許が失効となった後、県外で教員免許を再取得していたようです。
教員免許失効後に悔い改めたかどうか不明ですが、そこまでして教員として勤務するのは自分の欲望を満たすためでは?と疑いたくなってしまいますよね…。
もう完全に病気ですね(^^;
小さいお子様がいらっしゃる場合、不安に思われる保護者の方も多いと思いますが、なんと利用料無料で教員の処分歴を調べる方法がありました!
それは各自治体が契約しており、図書館で無料で利用できる「官報情報検索サービス」です!
本記事では事件の内容、官報情報検索サービスの利用方法等についてまとめてみました。
わいせつ教員処分歴隠蔽事件のニュースについて
Yahoo!ニュースによりますと、過去に生徒に対するわいせつ行為で懲戒免職となった長野県北信地区にある中学校の臨時任用の40代男性講師が、過去の処分歴を履歴書に書かなかったとして懲戒免職処分となりました。
この事件の恐ろしいところは、この40代男性講師が名字を変えているところです。
しかも複数回!!(^^;
複数回ということは結婚や離婚を繰り返したのでしょうか…。
さらに恐ろしいのは再任用時の書類では過去の処分時の名前は把握できていなかったということです。
採用担当者がこの40代男性講師と話していくうちに名字が複数回変わっていることが分かり不審に思い、教員免許取得時の名字をこの40代男性講師から直接聞き出し、そのおかげで処分歴を確認することができました。
これには採用担当者に賛辞を送らずにはいられません。ファインプレーです。
名字が変わっている場合は戸籍を辿ることになりますが、採用時に戸籍の提出を求めることは実務上難しく、名字を変えられてしまうと処分歴が見過ごされてしまう可能性があるようです。
名字を複数回変わっているとのことですが、結婚や離婚で自然に変わっただけならまだ救いがありますが、己の欲望を満たすために計画的に名字を変えていたとしたら恐ろしすぎます(^^;
参考:Yahoo!ニュース, “名字複数変わる…不審に思って検索 わいせつ処分歴発覚の教師を免職”, 朝日新聞デジタル, https://news.yahoo.co.jp/articles/489b227e8ce20f247cd1196a4e3acb6a548d3c61
わいせつ教員データベースについて
このような過去にわいせつ行為で処分を受けた教員を教育現場から締め出すため、2023年4月1日から「わいせつ教員データベース」が運用開始されました。
このわいせつ教員データベースは、教員がわいせつ行為による過去の免許失効の処分歴を隠して採用されるのを未然に防止することを目的として運用が開始されました。
教員を採用する際には、このデータベースで検索することが義務化されたとのことです。
ただし、今回はこのわいせつ教員データベースで処分歴が発覚したわけではありません。
わいせつ教員データベースの詳細については、過去の記事を是非ご参照下さい。
以前に書いた教員の懲戒処分に関する記事も是非ご参照ください。
わいせつ教員の処分歴を確認できる官報情報検索ツールについて
今回のニュースではわいせつ教員データベースからの処分歴の発覚ではなく、「官報情報検索ツール」からの処分歴発覚となりました。
初めて聞く方も多いのではないかと思いますが、以前から文部科学省では、教員を採用する採用権者(教育委員会)向けに官報情報検索ツールを提供しているようです。
参考:文部科学省, “官報情報検索ツール”, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/010602_00001.htm
この官報情報検索ツールでは、官報に公告された公開情報である教員免許状の失効・取上げ情報を簡便に確認することができるようです。
一般人には利用できませんが、一般人でも官報を検索して確認するための「官報情報検索サービス」は利用することは可能です。
官報情報検索サービスについて
「官報情報検索サービス」は誰でも利用が可能な官報の検索及び閲覧が可能なサービスです。
官報情報検索サービスでは昭和22年5月3日の日本国憲法施行日以降から当日発行分までの官報情報を検索可能です。
検索方法は日付検索及び日付検索+記事検索が可能です。
わいせつ教員の処分歴を調べるなら日付検索+記事検索のほうが便利そうですね。
インターネットで利用しようと思ったら、国立印刷局のホームページから利用申し込みを行い、利用料金を支払う必要があります。
国立印刷局, 官報情報検索サービス, https://search.npb.go.jp/guide/introduce.html#howtoEntry
官報(紙)を定期購読 している場合 | 新規 | |
日付検索のみ | 無料 | 1,672円 |
日付検索+記事検索 | 528円 | 2,200円 |
気軽に利用しようかなと思ったら、月額で意外と費用がかかることが分かりました(^^;
ちなみに官報の紙媒体の定期購読費用は月額3,841円です。
意外と高いですね…(^^;
ちなみに文部科学省は2021年4月1日に改正教育職員免許法施行規則を施行し、教員の処分理由も官報に明示されるようになりました。
具体的には①18歳未満の子どもか自校に在籍する児童生徒に対するわいせつ行為やセクハラ②①以外の人へのわいせつ行為など③交通違反や交通事故④職務上の不正行為⑤その他に分けて官報に記載されます。
第七十四条の二 免許法第十三条第一項の規定による公告は、次に掲げる事項を官報に掲載して行うものとする。
一 氏名
二 本籍地
三 免許状の種類
四 授与権者
五 免許状授与年月日
六 免許状の番号
七 失効又は取上げの年月日
八 失効又は取上げの事由(免許法第十条第一項第二号若しくは第十一条第一項の規定による失効若しくは取上げ又は懲戒免職の処分を受け、若しくは解雇された校長、副校長、教頭、実習助手若しくは寄宿舎指導員に係る同条第三項の規定による取上げにあつては、次のいずれの理由による懲戒免職又は解雇に係るものであるかの別を含む。)
イ 児童生徒性暴力等(教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律第二条第三項に規定する児童生徒性暴力等をいう。)
ロ わいせつな行為又はセクシュアル・ハラスメント(イに該当するものを除く。)
ハ 交通法規違反又は交通事故
ニ 教員の職務に関し行つた非違(イからハまでに該当するものを除く。)
ホ イからニまでに掲げる理由以外の理由
引用:文部科学省, “教育職員免許法施行規則”, https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329M50000080026_20230401_505M60000080012
無料で官報情報検索サービスを利用する方法
継続的に官報を読むわけではないのに月額料金を支払うのは気が引けますよね(^^;
そんな時は自治体が設置している図書館で無料で官報情報検索サービスを利用しましょう!
多くの自治体の図書館では官報情報検索サービスと契約をしており、検索は無料で行えます。
ただし印刷は有料のようです。
Google検索で上位表示されていた、官報情報検索サービスについて記載があった図書館のリンクを下記にいくつか示しておきます。
東京都立図書館 https://www.library.metro.tokyo.lg.jp/lib_info_tokyo/public/internet/
横浜市中央図書館 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo-manabi/library/shirabemono/research/central.html
さいたま市図書館 https://www.lib.city.saitama.jp/contents?1&pid=13
千葉県立図書館 https://www.library.pref.chiba.lg.jp/reference/pathfinder/pf_kampou.html#3
流山市立図書館 https://www.library-city-nagareyama.jp/database/kanpou.html
茨城県立図書館 https://www.lib.pref.ibaraki.jp/guide/reference/files/kanpou.pdf
大阪府立中央図書館 https://www.library.pref.osaka.jp/site/central/shirabe-a02kanpo.html#05
大阪市立図書館 https://www.oml.city.osaka.lg.jp/?action=common_download_main&upload_id=4034
印刷をしなければ無料で利用可能ですし、もしお子様の学校にもしやと思うような教員がいる場合は調べてみるのも良いかもしれません。
ただし、最初にご紹介したニュースのように名字を変えられていた場合は調べるのは困難だと思われます。
教員から過去の名字を聞き出すのは至難の技ですよね(^^;
採用担当者の方には漏れなくわいせつ教員の処分歴を調べ上げて頂きたいです。
本記事ではわいせつ教員を調べるための官報情報検索サービスについて調べてまとめてみました。
わいせつ教員データベースや官報情報検索ツールはあくまで教員採用担当者が閲覧できるだけなので、官報情報検索サービスで一般の人でも教員の処分歴を確認できるのは非常に役に立つと思いました。
ただし、教員免許の失効情報は以前から官報に掲載されていますが、処分理由が官報に明示されるようになったのは2021年からですので、詳細を確認できるようになってからはまだまだ日が浅いです。
さらにわいせつ行為の処分歴のある教員が名字を変えてしまっていた場合は、一般人が処分歴を確認するのは非常に困難と言えます。
今後わいせつ教員データベースや官報情報検索ツールを一般人でも閲覧できるようにするとともに、名字を変えられてしまった場合の対策も文部科学省は考えて頂きたいです。
毎回今回のニュースのように、採用担当者が不審に思って過去の名字を聞き出せるとは限りません。
わいせつ教員が駆逐されることを強く願っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。