旭川市いじめ第三者委員会?設置の目的や問題点とは?新委員長は尾木ママ

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旭川市いじめ第三者委員会設置目的問題点学校生活

Yahoo!ニュースで旭川市のいじめ事件の記事が掲載されておりました。

内容としては第三者委員会に関するものでした。

いじめ問題が起きるたびに「第三者委員会」というものを聞きますが、正気なところその目的や役割などはよく分かっておりませんでした。

第三者委員会とは以下のような目的を果たすために設置されます。

①関係者・関係機関からの資料収集

②いじめ被害者の在籍校・近隣校の児童生徒を対象とするアンケート調査

③児童生徒・教員・市教委職員・いじめ被害者などを対象とする聴取調査

④収集した資料などの精査・分析

本記事では旭川市いじめ問題を通じていじめ問題の第三者委員会についてまとめてみました。

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旭川市いじめ問題の第三者委員会のニュースについて

旭川市のいじめ問題とは、2021年3月23日に旭川市の中学2年の女子生徒が、旭川市内の公園で遺体で発見されたことをきっかけとして集団的ないじめが発覚した問題です。

数多くの生徒が関与し、学校側の対応も問題視されておりました。

その旭川市のいじめ問題に対応すべく「旭川市いじめ防止等対策委員会」が調査し、報告書が提出されたのですが、本ニュース記事には遺族が当該報告書に納得がいかない点がいくつも掲載されておりました。

当該報告書の公表版を私も拝見しましたが、黒塗り部分が多い…(^^;

個人情報保護の観点から致し方ないのかもしれませんが…。

2022年9月から旭川市長の今津市長が再調査委員会の設置を決め、再検証をすることとなりました。

再調査は「いじめ問題再調査委員会」で、委員長はあの有名な教育評論家である尾木直樹氏(通称尾木ママ)が就任されていたようです。

再検証での争点は、いじめの事実関係、いじめと死亡との関連、学校と教育委員会の対応の問題点等です。

経緯だけ見ると、「旭川市いじめ防止等対策委員会」の調査では不十分だったから「いじめ問題再調査委員会」が立ち上げられたようにしか見えず、「旭川市いじめ防止等対策委員会」は何してたのかと思わずにはいられません。

参考:47NEWS, ”「なにより1人が怖かった」凍死した中2女子生徒 苛烈ないじめは認定されたが…第三者委員会の姿勢に感じた疑問”, https://news.yahoo.co.jp/articles/e9e956edb2840eb534b5a90047bf6887975770d8(参照日2023-4-15)

参考:旭川市いじめ防止等対策委員会, “いじめの重大事態に係る調査報告書(令和3年6月4日諮問に対する答申)(公表版)”, 2022年9月12日, https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/218/266/270/d076131_d/fil/ijime_houkoku_kouhyouban.pdf(参照日2023-4-15)

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旭川市いじめ防止等対策委員会について

旭川市のいじめ問題の第三者委員会についてまとめてみました。

第三者委員会の名称は「旭川市いじめ防止等対策委員会」です。

全然いじめを防止できていないな、という突っ込みはやめておきましょう。

第三者委員会設置根拠

いじめ問題があった際の第三者委員会は、いじめ防止対策推進法及び各自治体の条例に基づいて設置されているものです。

旭川市の場合は、いじめ防止対策推進法第14条3項に規定する組織として旭川市いじめ防止等連絡協議会等条例第10条に基づいて設置された常設の組織になります。

勝手なイメージでしたが、このようないじめ問題が生じた際に設置される組織だと思っていたのですが、組織自体は常設らしいです。

なおさらいじめの防止のために普段は何をしているのか気になるところです。

第三者委員会メンバー

当該報告書を書いた旭川市いじめ防止等対策委員会のメンバーは、以下のような構成でした。(委員長・副委員長は2022年8月末時点)

公表されている報告書をご覧いただければメンバーの氏名も確認できます。

区分職業・役職推薦団体等備考
委員長弁護士旭川弁護士会
副委員長大学教授・臨床心理士北海道教育大学
委員公認心理師・臨床心理士北海道臨床心理士会
委員社会福祉士旭川育児院
委員小児科医旭川市医師会途中辞任
臨時委員公認心理師・臨床心理士北海道臨床心理士会
臨時委員精神科医旭川市医師会
臨時委員弁護士旭川弁護士会
臨時委員弁護士旭川弁護士会
臨時委員弁護士旭川弁護士会
臨時委員弁護士札幌弁護士会途中辞任

当初員会メンバーは4名でしたが、旭川市いじめ問題の諮問前に2名が離任し、諮問前に新たに3名の委員と諮問以降に3名の臨時委員が就任したようです。

やはり重大な事件だけに臨時委員を雇って慎重に調査及び議論していたのでしょうか。

臨時委員まで雇って再検証って…

ますますこの常設の旭川市いじめ防止等対策委員会の存在意義が分からなくなります。

第三者委員会の目的

臨時の委員も雇った旭川市いじめ問題の委員会では下記内容を把握することを目的として機能していたようです。

①学校や市教委、本件生徒遺族などの関係者・関係機関からの資料収集

②本件生徒の在籍校・近隣校の児童生徒を対象とするアンケート調査

③児童生徒・教員・市教委職員・本件生徒遺族などを対象とする聴取調査

④収集した資料などの精査・分析

ここで着目したいのが①及び④で、生徒遺族からの資料収集や聴取調査があるにも関わらず、生徒遺族が納得できていない点が複数あるということです。

全てが生徒遺族の期待通りの報告書の内容になるとは思いませんが、ニュース記事の中では少なくとも三点は生徒遺族が納得いかない点があるようです。

しかもいじめと死亡の因果関係をうやむやにするような結論では、納得いかないのもうなずけますね。

再検証になったのはこの①及び④の調査及び審議のプロセスに問題があったのではないかと考えてしまいます。

その証拠に2022年12月22日に開催された第1回旭川市いじめ問題再調査委員会の議事録に以下のような市長の発言があります。

1年4か月に渡りまして,対策委員会の皆さまには調査にあたっていただいて感謝を申し上げますとともに,その内容の一部におきまして,私も拝読をしたうえで,6項目についていじめがあったと認定をされたところでございますが,一方で遺族弁護団からの所見書におきまして2はいじめの認定について疑義が示され,また死亡に至った因果関係までは明らかにならなかったことなど,真相の解明にさらに取り組む必要があると判断したところであります。

引用:旭川市子育て支援部子育て支援課, “第1回旭川市いじめ問題再調査委員会 会議録”, 令和4年12月22日,  https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/218/266/270/d076812_d/fil/R4-1.pdf(参照日2023-4-16)

「真相の解明にさらに取り組む必要があると判断した」とありますが、真相の解明をするために取り組んでいたのでは…?(^^;

真相の解明にさらにもなにも程度というものが存在するのでしょうか。

「解明しても問題ない範囲の真相」と「解明されたら都合の悪い範囲の真相」というものが存在するのか邪推してしまいます。

現旭川市長は旭川市いじめ防止等対策委員会が既に調査や会議を始めた後の選挙で当選していることから、最初から現市長の意向や考えを反映させた調査などができなかったこととは思います。

しかしながら、世間の耳目を集めていた本件について、当選後39回もの会議が開催されているのですから、再検証が必要なレベルの報告書を公表する前に調査及び報告内容等に疑問を持たなかったのでしょうか。

第三者委員会の開催状況

再検証が決定された旭川市いじめ問題ですが、再検証前は「旭川市いじめ防止等対策委員会」で調査が行われ、会議が開催されておりました。

旭川市教育委員会学校教育部教育政策課のホームページによると、令和3年度は25回、令和4年度は22回会議が開催され、合計47回もの会議が開催されていました。

会議は令和3年度の第1回のみ公開で、その後は非公開(令和3年度第2回は一部非公開)となっております。

残念ながら非公開となった会議の会議録では、A4用紙1枚に開催日時、出席者、箇条書きの議事概要数行しかなく、会議の透明性は全くと言っていいほどありません。

ちなみに「旭川市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償等に関する条例」の中で、旭川市の附属機関の委員の日額報酬は7,700円となっています。

参考:旭川市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償等に関する条例, https://www1.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/soumu_soumu/d1w_reiki/H331901010044/H331901010044.html(参照日2023-4-16)

下表は令和3年度及び令和4年度の開催回ごとの委員の出席状況と委員報酬をまとめてみました。

条例上は委員報酬は7,700円ですが、臨時委員については附属機関によっては報酬額が異なるようですが、「旭川市いじめ防止等対策委員会」の臨時委員は報酬額が異なるかどうか読み取れなかったので臨時委員も7,700円で計算しております。

開催回令和3年度令和4年度
149
289
3109
4119
5109
6119
7119
8119
9118
10119
11109
12118
1399
1499
1598
1699
1799
1899
1988
2099
2189
2299
236
248
258
延べ人数229194
委員報酬(円)1,763,3001,493,800
委員報酬合計(円)3,257,100

令和3年度は出席委員の延べ人数は229人、令和4年度は194人で委員報酬はそれぞれ176万円及び149万円で、合計額は326万円でした。

この他にも行政コストはあると思いますが、委員報酬だけでも326万円の公金が使用されたにも関わらず、生徒遺族が納得できない点が複数あり、再検証が必要になる報告書を旭川市の行政職員はどう考えているのでしょうか。

さらに新たに教育評論家の尾木直樹氏を迎え立ち上げられた「いじめ問題再調査委員会」の委員報酬は日額16,500円となっております。

2倍以上の報酬額ですね…。

ますます「旭川市いじめ防止等対策委員会」の仕事ぶりはなんだったのかと思ってしまいます。

「いじめ問題再調査委員会」を何回開催するつもりなのか知りませんが、生徒遺族側に寄り添うような報告をしてもらいたいものです。

第三者委員会の結論

「旭川市いじめ防止等対策委員会」の結論を端的に言えば、

「いじめがどの程度の割合でどのような形で自殺に関与していたかは不明」

だとのことだそうです。

そして不明なのは情報を得ることができなかったからだそうです…(^^;

先ほども申し上げましたが、報告書作成にあたって委員報酬だけで合計額は326万円かかっています。

そしてその結論が情報を得られず不明というのでは、生徒遺族が納得できるとは到底思えません。

情報を得る努力、情報を得ようとする姿勢があったのか疑問に思ってしまいます。

2年間何やってたんだ…(^^;

ニュース記事でも指摘がありますが、割合の問題なのでしょうか?

報告書は黒塗りだらけで詳細も分からず、結論部分では自殺の要因として自殺した生徒の特性、学業での挫折も併記されており、いじめのせいでは無いと言いたい気持ちが抑えられないのかなと勘繰ってしまうような内容です(^^;

学校や教育委員会側の意向が最大限汲まれたような報告書だなという印象でした。

加害者にも未来があるとか平気で生徒の遺族に言ってしまう教頭がいるような組織では、まともな調査もできず当然の結論かもしれませんね。

参考:文春オンライン, “「加害者にも未来がある。学校は責任は負えない」旭川イジメ14歳凍死 中学校教頭が母親に告げた言葉《事件発覚から2年》”, https://news.yahoo.co.jp/articles/dd4906b7a34cd09d8c87a937057374cfa5231fa3(参照日2023-4-17)

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いじめの第三者委員会の問題点とは?

これまで旭川市の事例を見てきましたが、そもそもいじめ問題における第三者委員会の役割とは何なのでしょうか。

最も求められるのは中立的な立場で原因を究明し、再発防止策を考えることだと思います。

中立的な立場を保つために第三者委員会の人選は慎重に行うべきだと思いますが、本件の第三者委員会は中立的な立場の方のみで構成されていたのでしょうか?

正直なところ私には中立的な立場の方々なのか全く検討がつきません。

また文部科学省の資料「いじめの第三者調査委員会の現状と問題点」では以下のような内容が問題点として挙げられております。

・中立・公正・厳正・専門・有用な人材確保

・委員選考までに長い時間を費やす 

・委員の資質が不十分な場合がある(文章が書けない、役割の自覚がない)

・結果説明後に誹謗・中傷を浴びせられる等の不利益を被ることがある

・調査の限界がある

・学校及び設置者との役割分担不明確 (調査主体はあくまでも「設置者・学校」)

・事務局担当者が教育委員会職員の場合、「中立・公正」の面からの批判を受けることがある

・事務局担当者の多忙問題

・事務局担当者の資質・能力(学校教育やいじめ問題への認識・知識等)

・事務局担当者の保護者対応での心理的負担が大きい(クレーム対応)

参考:文部科学省, “いじめの第三者調査委員会の現状と問題点”から抜粋, 令和2年2月20日,

404error:文部科学省
参照日2023-4-17)

問題点の中には社会人としての資質を疑うようなものも散見されますね(^^;

「文章が書けない」、「役割の自覚がない」って…委員以前の問題ですよね。

そんな人を公金で委員として雇っているのでしょうか…。

また調査主体が学校というのもどうなのでしょうか。

不都合な事実が隠蔽される恐れが十分あると思います。

事務局担当者の多忙問題というのも、人一人の命がかかっているのだから、人員配置を見直すぐらいすべきではないでしょうか。

お役所仕事過ぎますね。

また調査の限界の中には、「弁護士と言うと調査の専門家のように聞こえるが、教育や子どもの問題に精通しているとは限らないという」趣旨の内容も書かれておりました…。

人材確保が困難と切り捨てず、精通している人を可能な限り選ぶ努力はしないのでしょうか(^^;

また旭川市のいじめ問題の委員の肩書を見るとやたら弁護士が多いようですが、弁護士に限らずいじめ問題に精通した人間が対応できるような制度設計の見直しは定期的にしているのでしょうか。

いじめは犯罪との認識で警察組織の介入を積極的にすべき時代なのではないかと思います。

そのためには法整備なども必要なのかもしれませんが、旭川市のいじめ問題はあまりにも酷い事実が次々と明るみになったので、法改正のきっかけにすべきではないでしょうか。


本記事では旭川市いじめ問題を通じていじめ問題の第三者委員会についてまとめてみました。

第三者委員会とは以下のような目的を果たすために設置されます。

①関係者・関係機関からの資料収集

②いじめ被害者の在籍校・近隣校の児童生徒を対象とするアンケート調査

③児童生徒・教員・市教委職員・いじめ被害者などを対象とする聴取調査

④収集した資料などの精査・分析

旭川市のいじめ問題では「いじめ問題再調査委員会」が立ち上げられ、教育評論家の尾木直樹氏が委員長に就任しました。

「旭川市いじめ防止等対策委員会」の報告書では生徒遺族が納得いかない点が多々あったようなので、そのような遺族の疑問が解消できるように尾木直樹氏にはご尽力いただきたいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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