本作を読もうと思ったきっかけ
難関中学校の合格実績が豊富な「SAPIX」という塾名に惹かれて読もうと思いました。
本作のテーマ
子供の知的好奇心を刺激し、学習意欲を高める様々なヒントを紹介するのがテーマです。
本作を読んで得られるもの
本作では教科ごとに子供の学力向上のためのヒントが数多く記載されています。
また各教科を学ぶことで育てることが可能な能力や、各教科の中学受験のトレンドも記載されているため、中学受験を検討されている方には参考になる内容が多くあるかと思います。
さらに本作には購入者限定のSAPIX小学部保護者アンケートによる「楽しみながら頭のいい子を育てるアイデア集」のダウンロード特典があります。
実際にダウンロードして内容を見ましたが、A4スライド4枚の実際に各家庭で取り組んでいるアイデアがまとめて記載されていました。
この中にも子供の学力向上のためのヒントが潜んでいるのではないでしょうか。
著者のプロフィール
・著者・・・佐藤智、教育ライター、中学校・高校の教員免許保有
・横浜国立大学大学院教育学研究科修了
・出版社勤務を経て、ベネッセコーポレーション教育研究開発センターにて、学校情報を収集しながら教育情報誌の制作。その後、独立して株式会社レゾンクリエイト(ライティング、編集業務)を設立。
両親がともに教師という家庭に育った教育ライターの佐藤氏。
全国約1000人の教員へのヒアリング経験を活かし、本作でもSAPIXの各教科の専門家から余すところなく子供の意欲及び学習能力向上のヒントを聞き出していると思います。
本作の概要
本作は全6章で構成されています。
第1章は「頭のいい子」とは何なのかについて深掘りしています。
子供が自発的に学び続けるためのヒントが多く記載されている章になります。
第2章から第5章については、国語、算数、社会、理科のそれぞれの科目に関する学びのヒントが具体的な疑問とともに回答がセットで記載されています。
各疑問に対して端的な回答がそれぞれ最初に記載されている構成のため非常に読みやすいです。
第6章については中学受験との向き合い方について記載がなされています。
第6章についても中学受験をする上での素朴な疑問に答えております。
ただし、本作では各教科の学びのヒントがメインであり、第6章の分量は少なく、中学受験特化型の本ではないことを認識したうえで読んだほうが良いでしょう。
本作の作成に当たっては、著者と教科ごとにSAPIXの各教科の専門家が携わっています。
参考になったポイント
個人的に本作を読んで参考になったポイントについて記載したいと思います。
子供の疑問を大切にし、汲み取ってあげる
本作を通して著者は子供が疑問を持つことの大切さを訴えています。
疑問を持つからこそ学びが始まるのは確かにその通りです。
ただし、子供がせっかく疑問を持ったのに大人がその疑問を汲み取って広げてあげなければ貴重な学びの機会が失われる可能性があります。
この疑問を持った時をチャンスととらえ、親子で一緒に疑問を共有し、深掘りできれば良い学びに繋がると思いました。
特に疑問にすぐに親が答えるのではなく、そこで子供に考えさせる時間を設けることが重要だと感じました。
粘り強く答えを導く力及び姿勢を身に付ける
本作の中でも触れられていますが、私が小学生の頃の二十数年前とは異なり、難関中学校以外でも中学受験は知識だけではなく、思考力が求められるようになってきています。
思考力を身に付けるためには、まず粘り強く答えを導く力及び姿勢を普段から養わなければならないと思います。
単なる暗記に傾倒してしまい、考えること自体を放棄してしまうようではそもそも中学受験の土俵にすら立てません。
子供からしたらすぐに答えが出ないような問題は心理的にハードルが高いと思ってしまって、苦手意識が出てしまうのかもしれませんね(^^;
親自身が好きなものや興味のあるものを共有する
私はよく子供がすきなものや興味のあるものは何なのかを考えていました。
本作では親自身が好きなものや興味のあるものを共有するのがいいと記載されています。
確かに他の人、ましてや一番身近な親が好きでもなく興味もないものに、子供が取り組もうとは思わないですよね。
子供とのコミュニケーション時間を増やす目的も兼ねて、自分が興味関心あるものを子供に共有していきたいと思いました。
子供は忘れる生き物と考える
この点には非常に共感しました。
例えば算数のひっ算で繰り上がりがある際に、必ず1を書くように言っても、中々1を忘れずに書くようにはなりませんでした。
というのも暗算でできるのにいちいち書くのが面倒というのが長男の考えの根底にあり、そのため1を書くようにと言ってもその指示が頭に残らなかったようです。
あるとき連続で計算ミスをして、きちんと繰り上がりの1を書くことの大切さを痛感したのか、それ以来はきちんと書くようになりました。
忘れずにできるようになるまでじっくり親が付き合うことも大事だとは思いますが、何か衝撃的な出来事が起きると忘れなくなるというのが私の考えです。
あえてテストで間違わせてショック療法的に覚えさせるのも良いかもしれません。
その方が間違いなく記憶には残るのではないでしょうか。
子供が集中できる環境づくり
お恥ずかしい話ですが、自宅で子供の勉強を見ているときについついスマホをいじってしまうことがあります。
本作では以下のような記載があります。
保護者自身がテレビやスマホを見るのをやめて、子どもが集中できるようにする
佐藤智, “SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること”, ディスカバー・トゥエンティワン, 2023, p.58
これに関しては反論の余地もございません(^^;
本作を今後どう役立てたいと思ったか
本作を今後我が家でどう役立てたいかを下記にまとめてみました。
子供の疑問を引き出す声かけを意識的にする
参考になったポイントでも記載した通り、子供の疑問の声にしっかりと耳を傾けるようにしたいと思います。
忙しかったりするとついつい子供の疑問を受け流してしまうことがありますが、きっちりと受け止めて、子供自ら考えさせるように声かけしていきたいと思います。
「なぜ」を意識して思考力を鍛える
上記の声かけする際には、トヨタ自動車で生み出された「なぜなぜ分析」を活用していきたいと思います。
なぜなぜ分析では繰り返し問いかけることで根本原因を突き止める分析手法です。
元々は製造ラインの故障などが生じた際に、真の原因究明をするのに活用されてきました。
息子が疑問を持った際にはこのなぜなぜ分析を活用し、繰り返し深く考える癖を身に付けさせていきたいと思います。
せっかく疑問を持ったのですから、1回の「なぜ」で終わらせることなく、繰り返し「なぜ」と息子に問いかけていきたいと思います。
息子と共有する時間を増やす
本作ではダウンロード特典にもあるように、親子での取り組み内容がいくつも記載されています。
また本文中にも理科ができる子になる習慣として一緒に料理に取り組むことを推奨していたりします。
趣味や家事でも一緒に時間を共有すれば、楽しく時間を過ごすことも可能ですし、その中で息子がどのようなことに疑問を持つのかを観察することも可能です。
その疑問をきっかけに息子の思考力を鍛えるとともに、息子が何に興味を持つのか、何に知的好奇心を刺激されるのかを観察して、将来の進路について話し合っていきたいと思いました。
読んでもらいたい人
読んでもらいたいのは子供の学習に対するモチベーションが上がらずお困りの保護者です。
本作には各教科ごとに子供の学習意欲を向上させるヒントが数多く記載されています。
その中で良いと思ったことを実践すれば、子供の学習に対するモチベーション向上に繋がる可能性もあります。
また、本作でも最初の方に記載されていますが、楽しくなければ学習に対するモチベーションは上がらず、学びは続きません。
楽しく学ぶためにはどうすれば良いのか…。
そんな疑問の解消の一助になる可能性を秘めた本作と言えるのではないでしょうか。
まとめ
本作は各教科ごとの学習に対するモチベーション向上のヒントが多く記載されています。
また、本作は全体を通して子供が疑問を持つことの大切さと、その疑問を親が汲み取ってあげることの大切さも記載されています。
子供が疑問を持つように様々な体験をさせたいと思わせる本作でした。
私が本作で参考になったポイントは下記の点についてです。
・子供の疑問を大切にし、汲み取ってあげる
・粘り強く答えを導く力及び姿勢を身に付ける
・親自身が好きなものや興味のあるものを共有する
・子供は忘れる生き物と考える
・子供が集中できる環境づくり
また、今後本作をどう役立てたいかは下記の点についてです。
・子供の疑問を引き出す声かけを意識的にする
・「なぜ」を意識して思考力を鍛える
・息子と共有する時間を増やす
本作の内容を参考にして、各ご家庭で疑問を引き出す楽しい時間を共有できることをお祈りしております。
本レビューが少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。